
突然ですが、この屏風絵…すべて刺繍でできた作品なんです。めちゃくちゃ綺麗だと思いませんか???
著者のgaosanchiは、1年半の間中国湖南省で生活していました。その際にコチラの作品を実際に見学しました。
中国湖南省長沙には刺繍作品の博物館があって、びっくりするような数&大きさの作品がズラリ。
なかなか日本ではお目にかかれないジャンルだと思います。
今回は、文明国家・中国の数ある歴史的民藝の一つ、「湘繍」をご紹介します。
湘繍は中国四大刺繍のひとつ
蘇州の「蘇繍(そしゅう)」、広州の「粤繍(えつしゅう)」、湖南の「湘繍(しょうしゅう)」、四川の「蜀繍(しょくしゅう)」は有名で『中国4大刺繍』と呼ばれます。
その中でも湖南省の「湘繍」は、色遣いが鮮やかで写実的なのが魅力。
主に中国画をテーマにした作品が多いです。中国画を下絵とし、たくさんの刺繍糸を使い分けて美しいグラデーションを仕上げていきます。

美しい湘繍作品たち
湘繍は、昔の作品が美しいことはもちろん、技術に磨きをかけて現代でもその美しさで多くの人を魅了し続けています。



説明パネルのうち右上部分に「不可思議的 双面全异(異)绣」とあります。どういうことでしょう?
中国語が分からなくても何となく意味が想像できるでしょうか。
パネルの裏面へ回ると答えが分かります…。

なんと裏側にも刺繍。先ほどと反対向きの顔をしたトラがいました。画像を反転したものではないんです!
この両面刺繍が中国刺繍作品の魅力です。両面に刺繍がされているものほど高価になります。

この仏様の作品ももちろん刺繍でできています。ちょっと東南アジアっぽい雰囲気もあって素敵ですね。実際に買ったらいくらするんだろう…!?

こんな現代チックな作品も。ブルドッグが可愛すぎる~(猫ちゃんは湘繍ではなく他地域で作られたものでした)
刺繍は高度な美術品ではなくあくまで「民芸」。
資料館には豪華絢爛な作品ばかりでなく、刺繍が一般民の日常生活に広く浸透していたことを示す展示や、制作風景の映像、昔の村を再現した蝋人形コーナーなどもありましたよ。


ナゼ?毛沢東の刺繍作品がいっぱい
中国建国の父・毛沢東を題材とした刺繍作品が多く目立ちました。
実は、毛沢東の故郷は湖南省なんです!湖南省は多くの中国人にとって、いわば聖地のような場所。
湖南省には張家界(映画「アバター」のモデルとなった世界自然遺産)や激辛湖南料理などを目当てに多くの中国人が訪れる人気国内旅行地なのですが、歴史的に重要な史跡もたくさんあるのです。

多くの日本人にとって毛沢東のイメージというと晩年の毛が少なめの姿ですが、湖南省では至る所に色んな時代の毛沢東の写真やらイラストやら像やら見ることができます。
こちらの髪の毛フサフサな青年も若き日の毛沢東です。


おわりに
今回訪れた「中国湘繍博物館」は湖南省長沙の中心部にあります。湖南省外部からも見学に訪れている方を多く見ました。
なんといっても入場料無料!正直、料金取ってもいいと思えるクオリティでした。

中国で生活してみて、良くも悪くも歴史の奥深さを感じる場面は何度もありましたが、湘繍は非常に見ごたえのある作品ばかりでした。これだけのものを生み出せる中国は、さすが文明国家ですね。
博物館の1階は物販、2階は展示スペース。物販コーナーは価格帯も様々で、お求めやすい商品もありました。
この博物館以外にも問屋街のようなエリアが長沙の郊外にあって、(中国語でうまく交渉できれば)美しい湘繍作品をリーズナブルに入手することもできると思いますよ。
私も帰国時のお土産に両面刺繍入りのマフラー、パンダの刺繍の置物をお迎えしました。大変気に入っています^^
今後も時々、中国生活や文化について投稿したいと思います◎